防已黄耆湯
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は汗かきで、関節が腫れたり、足がむくんだりする方の漢方薬です。
このような訴えは太っている方に多く、自分の体重が下半身に負担を掛けています。また、その肥満も
ブヨブヨとした水太りというのが特徴です。この水太りは脂肪太りタイプと違って、大食していないの
に太ってしまったという方です。さらにダイエットを熱心に行っているが、全くやせない方です。脂肪
ではなく、体内の水分代謝がうまくいかず、余分な水をためて太ると解釈されています。結局、基礎代
謝が悪くて、冷え症の女性に多いトラブルです。
この処方名にある防已(ぼうい)と黄耆(おうぎ)というのは、処方を構成する6種類の生薬の主薬です。
防已黄耆湯は、2つの主薬の名をとって付けられました。「金匱要略(きんきようりゃく)」という漢方の
古典に紹介されています。
水毒(すいどく、湿邪と同じ)タイプの方では、水をたくさん飲んでも尿量が増加せず、体にためこんでし
まいやすい傾向があります。この水分が関節痛などのさまざまな不調の原因となりますが、防已は利尿を促
進して、関節や体に溜まった余分な水を尿として排泄し、この原因を取り除きます。
また、水毒の方では、むくんだり、逆に汗が出すぎるといった方もあります。これは胃腸機能の低下などか
ら、体内の水分分布がうまくコントロールできなくなったために起こる症状です。防已黄耆湯のもう一つの
主薬である黄耆は、胃腸機能を高め、異常発汗しないように皮膚を強化する働きがあります。
防已黄耆湯は、利尿や異常発汗を是正して体内の水分バランスを整えることにより、関節痛やむくみなどの
原因となる水毒を改善する漢方薬です。